くずみーのくずかご

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【免許】翼をもがれた僕はあまりにも無力で~第2話~

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 いつもより早い時間に鳴るベルの音で目を覚ます。
 ここで僕は思い出す。自分が、翼を奪われた哀れな天使だったことに。自らの力で飛ぶことも叶わず、世界のしがらみから解放された存在にただすがることしかできないのだ…。

 ということで、免許更新の準備と仕事の準備を終わらせる。そう、僕は免許のうっかり失効で車を運転する権利を失い、免許更新のためにフリーター(2016年8月時点)の先輩に免許センターまで送ってもらうのだった。

 眠い目をこすりながら車に乗り、免許センターまで走ってもらう。道中、出勤時間が近づいたので部長に連絡。昨晩電話を取ってくれた人がメモを置いてくれたようで、起こったことの内容は把握してくれていた。「わかったので気を付けて行ってきて。車運転したらダメやよ」と送り出してくれた。いい上司だ。

 そんなこんなで免許センターに到着。何があってもいいように昨日もらった違反内容が記載されている赤紙も握りしめ受付へ向かう。K先輩は待っていてくれるようだ。これで、大変だった作業がやっと終わる…。







「住民票ゥ!?」
 全国素っ頓狂声選手権“住民票”部門が開催されたら今の僕は今年度暫定1位だっただろう。
受付に向かった僕を出迎えたのは非情な現実だった。免許が失効した時点でそれは証明書としての効力も同時に失ってしまう。通常なら失効する前に免許の更新作業は行われるため、更新時には免許証が本人確認の証拠書類となるが、今僕が持っているこれは失効しているため、“本当かどうかがわからない情報が書かれている免許証のような板きれ”へとなり下がっていた。そのため、本人情報の確認のため住民票が必要なのだという。

 僕は昨日警官に「明日の朝一で更新してくるように」と言われた。なのでそのようにしたのだが、住民票が必要だなんて聞いていない、というか物理的に難しい。市役所で住民票発行の受付が始まるのが8時半、免許更新の受付が9時~9時半、市役所から免許センターまで渋滞がなければ30分だが朝の通勤ラッシュを考慮に加えると1時間は想定せねばならない。住民票発行手続きの時間等諸々のロスを考えると朝一の更新は無理と言ってもいいだろう。

 言われたとおりに動いたし、物理的に難しい要求だし、聞いてないし、で納得のいかなさがふつふつと湧き上がってくるが、免許センターの担当は何も悪いことをしていないのでゴネても仕方ない上に、僕の脳内の2ちゃんねらーが「元々はお前がスマホ見てたのも悪いし免許更新してないのも悪いだろ」と言っていたので大人しく引き下がる。

「住民票いるって。」
 それを聞いたK先輩は苦笑いを浮かべる。それもそうだ、朝起きてもらったことから何から全てが無駄足になった。午前の更新は不可能となったため、午後に行われる免許更新講習を受ける必要が出てくる。昼過ぎからだ。受付の人の話によると講習にも時間がかかる。これから必要なことをまとめるとこうだ。
・市役所まで戻る
・市役所へ行って住民票を発行
・アクセスの悪い免許センターへ再度向かう
・免許更新作業
・職場へ行き謝罪と事件の概要説明

 とてもじゃないがこれだけの行程に付き合ってもらうのは罪悪感がある。ここからは、自分で何とかしなければ。頭の中でこれからのことを各策しながら家まで送ってもらう。いっそ車を運転してしまいたい、と何度も考えたが、ここで法を破ってしまっては、昨日の先輩方の厚意が無駄になってしまう。変な言い方だが、破るなら最初から破るべきだった、ということだ。

 これからどうするか。第2回戦が開幕する。




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